スーパーストアの社長になってみる(第3回)
タブローのLOD表現メジャーの使い方、リファレンスバンド、ドリルダウン型ダッシュボードアクションについて解説しています。
返品が多すぎて
返品について考えてみる
返品が多すぎます。受注ベースで売上目標を達成していても返品により最終的な売上目標が未達に終わっています。受注金額の13.6%もが返品されます。
思いつく返品理由は製品の不具合か・・・我が社の製品は各カテゴリーのトップブランドですから製品の不具合というのは基本的にあり得ません。
そうなると、製品のセールス、受注、配送といったオペレーションのどこかに課題があって、いわばシステマティックに返品が発生していると考えるべきです。
返品が多いマネージャーをみつける
・列シェルフは数量です。
・行シェルフが担当者です。
グラフは、時間を横軸、その他は縦軸のようなルールに従ってつくると、ダッシュボードにまとめたときに見やすいVIZになります。ダッシュボードのレイアウト次第のときもありますが。
マネージャー別のグラフにした理由は、返品が多いマネージャーをどやしつけることが目的ではありません。最終的に返品が多い製品をみつけたときに、その製品が返品になった理由をマネージャーから聞くためです。
計算フィールドの作成(ディメンション)
前画像のディメンションのように地域マネジャーを表示する場合、名前だけでなく地域もくっついていると、誰がどこの担当なのかがすぐにわかるようになります。「地域」ディメンションを追加すればそれだけのことですが、列やラベルが乱雑になることがあるのでくっつけます。
データを確認したときに、地域マネージャーと地域は1対1の関係になっていることを確認しました。
2つのフィールドをくっつける方法は、シートで計算フィールドを作成するか、データソースへ計算フィールドを追加するかの方法があります。今回はデータソースへ追加してみます。
・データソースの「地域マネージャー」フィールドの▼(下向きの三角)をクリックして「計算フィールドの作成」を選択します。
・開いた窓へ計算式を書きます。
[地域マネージャー]+'('+[地域]+')'
エクセルで文字列の連結は「&」、タブローは「+」です。
LOD表現のメジャー
返品率を算出
一方の軸を返品高も含めた売上高(受注高といえる)、一方の軸を金額ベースの返品率(返品高÷返品高も含めた売上高)に設定し製品名をプロットする散布図を描画したいと考えています。
問題は返品率メジャーの作成方法です。
・返品率を算出するための返品高がメジャーにありません。
・画像のように売上高を表示してフィルターで返品高にセットすれば売上高メジャーは返品高になります。
・そうなると売上高をどうやって表示すればよいのやら・・・
フィルターは表全体をフィルタリングするから売上高はでてこないのです。
関数FIXED
{FIXED [製品名]:SUM([売上高])}
・散布図へ製品名をプロットします。
従ってFIXDED関数で指定する粒度は「製品名」です。
フィルターが返品フラグですからディメンション「製品名」の集計はフィルター「返品」よりも上位で実行されます。メジャー名を「売上高(製品名)」にしました。(LOD表現(タブロー))
返品率の計算式
返品率=返品高÷返品高も含めた売上高
・分子の[売上高]はフィルタリングで返品高になっています。
・分母の[売上高(製品名)]はフィルターされないLOD表現です。
従って、分母はデータソース全行の製品名ごとの合計売上高になります。フィルターを外すと分子と分母は同一値になります。
散布図をつくる
{FIXED [製品名]:SUM([売上高])}」
<操作手順>
・フィルターされない売上高を横軸
・返品率を縦軸にします。
・「製品名」を詳細へドロップします。
・フィルターは「返品」のままです。
フィルターを外すと全商品の返品率は100%になります。
<分析結果>
・散布図エリアの右側ほど売上高が高い
・上方ほど返品率が高い製品であることを示します。
売上が高く、かつ、返品率が高い製品が経営的観点からみて、原因を解明し改善すべき重点製品だといえます。何となくわかります。では、具体的な目印を追加しましょう。
分布バンド
<操作手順>
・アナリティクスタブを開きます。
・アナリティクスペインから「分布バンド」をドラッグして描画エリアへ移動します。
・分布バンドを追加する窓があらわれます。
・「表」の「売上高(製品)」(現在の表の横軸になっている)へドロップします。
スコープが「表全体」になっていることを確認します。計算の値がデフォルトでは「パーセンテージ」になっています。
・ドロップダウンを開いて「標準偏差」のラジオボタンを押します。
・「係数」のところは、そのままでOKです。
・ラベルのドロップダウンを開いて「なし」を選択します。線や色の編集もここでできます。
・現在の縦軸になっている「返品率」も同じ手順で標準偏差の分布バンドを設定します。
クラスター
<操作手順>
・アナリティクスペインの「クラスター」をグーっとひっぱてきて「クラスター」の窓が開いたらドロップします。
基本的にタブローのクラスター形成数は自動(階層クラスター分析)です。今回のデータでやってみると2クラスターになりました。
自分でクラスター数を設定(非階層クラスター分析)できる機能があって、12に設定するといい感じです。
<分析結果>
・売上高、返品率、両方の標準偏差1からはみ出している製品、クラスターでは8です。これら製品の返品率低下に成功すれば経営に対するプラス効果は大です。
・返品率100%の製品もあります。何か重大な問題があるのでしょうか。返品率50%~80%の製品も多く、中には数十万円の売上がある製品もあります。
ドリルダウン型ダッシュボード
製品別リスト
散布図から製品へドリルダウンできるリストを作成します。
ドリルダウンはカテゴリー→サブカテゴリ―→製品、このように段々と粒度が細かくなるのが通常です。
今回はクラスターから製品へドリルダウンしてくるので製品名を左端の列、その製品がどこのカテゴリーでどのサブカテゴリ―なのかがわかるように列を配置しました。
・テキストの値を売上高と利益高
・表は売上高降順
・色も売上高(連続)
・返品を列シェルフへ入れます。
純売上高と返品高を示すハイライト表が完成しました。ハイライト表は形状を四角にするところがポイントです。
ダッシュボード
左側のシートから右へ右へとドリルダウンするアクションを作成します。
・まず、散布図の漏斗マークをクリックしてフィルターとして使用します。
ワンクリックでフィルターアクション1が完成しました。
ダッシュボードアクションを追加する
・上部のダッシュボードメニューから「アクション」を選択します。
・左側の窓が開きます。
先に作成した(漏斗のボタンを押した)フィルター1が生成されていることがわかります。
・「アクションの追加」をクリックして「フィルター」を選択します。右側の窓が開きます。
名前が「フィルター1」になっていると思います。つまり「アクションの追加」→「フィルター」の手順は「フィルター1」へアクションを追加する手順です。
・あたらしいアクションをつくるときは、名前を変更しましょう。
名前をアクション2にしました。
・ソースシートは2(3)ハイライト表です。
・「アクションの実行対象」は「選択」にします。
・ターゲットシートは2マネージャーの棒グラフです。
「選択項目をクリアした結果」ここの選択が難しくて悩みます。
・「フィルターを残す」はハイライト表の選択を解除しても棒グラフはそのまま
・「すべての値を表示」はハイライト表の選択を解除するとフィルターがまったくない(フィルター1も解除の状態)表へ戻ります。
いちばん初めの状態(ノーフィルター)へ戻ることが簡単なのは
・「すべての値を表示」です。
フィルターアクションの設定は様々な状態を実践してみることがいちばんです。
ドリルダウンする
・散布図から複数の製品を範囲で選択します。
アクションのフィルター1によってハイライト表と棒グラフがフィルタリングされます。
・ハイライト表のどこか1行を選択します。
棒グラフがアクションのフィルター2によってフィルタリングされます。
辻岡さんは、この製品の機能を勘違いしていて、顧客の要望にマッチしない製品にもかかわらず販売した。
金児さんはオーダーシートのなかに、この製品名と瓜一つの製品名があって間違えた製品を配送した。こういった話を聞くことができるかもしれません。
>スーパーストアの社長になってみる(第1回)
>スーパーストアの社長になってみる(第2回)
>スーパーストアの社長になってみる(第4回)
>スーパーストアの社長になってみる(第5回)