国民経済計算 四半期別GDP速報

国民経済計算 四半期別GDP速報

2019年第1四半期~名目・実質GDPデータ付き!経済成長率・デフレーターの算出方法を解説しています。

データについて

四半期別GDP速報 2020年1~3月期(2019-Q1)
サンプルデータ

<ヘッダーとデータ2行サンプル>

系列,YYYY/MM/DD,集計単位,項目,金額(10億円)
実質季節調整系列,2019/1/1,海外からの所得(純受取),海外からの所得(支払),-14061.8
実質季節調整系列,2019/1/1,海外からの所得(純受取),海外からの所得(受取),33736.5
基本項目

ファイル形式:テキスト (.txt)カンマ区切り
ファイルサイズ:33KB
文字コード:Unicode (UTF-8)
ウインドウズのメモ帳で開くことができます。

*エクセルへ変換するとき
A列・C列・D列=文字列
B列=日付
E列=数値(小数)
(テキストファイルをエクセルへ変換する方法)

データ形式:列指向形式
(データ形式について)
列数:5
行数:371 (ヘッダー行を含む)

データ内容
A列系列
4系列
・名目原系列
・名目季節調整系列
・実質原系列
・実質季節調整系列
B列YYYY/MM/DD四半期の期初の年月日
2019/01/01~20202/01/01
5四半期
C列集計単位
下記参照
D列項目
下記参照
E列金額(単位:10億円)
小数点1ケタまであり

<データ出典>
政府統計の総合窓口「e-Stat」(https://www.e-stat.go.jp/)
企業・家計・経済>国民経済計算>四半期別GDP速報>最新値>2次速報値>四半期を加工して作成

名目系列と実質系列

名目系列の「系列」「集計単位」「項目」
名目系列は、いずれの粒度で集計してもメジャー総計は一致します。

<名目系列>
 名目系列は画像のような構造になっています。
 最も粒度が細かい項目(画像の右)から合計していくと粗い粒度の値(画像の左)と一致します。

 買物レシートでいうと、一品ずつの単価があり、その合計が小計、小計に消費税を加えて支払総額になるわけです。これを「加法整合性」といいます。

<実質系列>
 ところが実質系列では合計が一致しません。
 「加法整合性」が成立しないため名目系列のような構造にデータをまとめることができません。

名目系国内総生産=民間需要+公的需要+財貨・サービス

 本データ名目系列の「系列」「集計単位」「項目」では画像のような構造になっています。「加法整合性」が成立します。

実質系列の「系列」「集計単位」「項目」
実質系には「開差」がある。

 名目系列なら個別項目のなかの8項目の合計値が「国内総生産(GDP)」の値と一致します。ところが実質系列では一致しません。ただし「開差」を加えると一致します。

実質解列では、項目のの合計が一致しない。

 実質系列では画像のように最も集計粒度が細かい項目の合計値がその上位の粒度の値とも一致しません。

 この点が分析にあたり、注意が必要なところです。

名目系列と実質系列の違い
実質系列には辻褄を合わせる工夫が施されている。

 実質系列は、名目系列にデフレーター(連鎖方式のデフレーター)という変数を使用(積算)して算出されます。

 実質系列=(名目系列÷デフレーター)×100

 GDPを構成する項目が「G」「D」「P」のとき、名目系列のGDPは「G」+「D」+「P」です。


 名目系列のGDPを実質系列するための計算式は
・実質系列GDP=名目系列GDP÷デフレーター×100

 それぞれの列の値にたいしてそれぞれのデフレーターを積算すると
・実質系列G=名目系列G÷デフレーター×100
・実質系列D=名目系列D÷デフレーター×100
・実質系列P=名目系列P÷デフレーター×100
 この合計値とGDPは一致しません。そこで「開差」が登場します。

 つまり「開差」とは、各項目の合計値とGDP値を一致させるためだけのものだと考えてもよさそうです。

活用方法(エクセル)

実質GDP推移
エクセルは単純に「グラフ」を使用するよりも「ピボットグラフ」のほうが、使い勝手がよいように思います。

 「挿入」から「ピボットグラフとピボットテーブル」を選択します。
・スライサーへ「系列」と「集計単位」を設定します。
・「行」へ「YYYY/MM/DD」をドロップします。
・「値」は「金額(10億円)」です。
・テーブルの2019年の左側にある+マークをポチっと押すと四半期が開きます。
 これで実質GDPの四半期推移グラフが完成です。

前年同期比実質経済成長率
デフォルトは「合計」になっていると思います。

・「値」へ「金額(10億円)」を追加します。
・右側の▼マークをクリックします。
・「値フィールドの設定」が開きます。
・「計算の種類」タブをクリックします。
・「計算の種類」は「基準値との差分の比率」です。
・「基準フィールド」を「年」、「基準アイテム」は「2019」年です。

前年同期比実質経済成長率(%)=
 (今年の実質GDP-前年同期の実質GDP)÷前年同期の実質GDP

 グラフの種類を「組み合わせ」にして見やすく軸を設定すると完成です。

その他
輸出と輸入を比較します。

・「実質原系列」の「財貨・サービス(純輸出)」を選択します。
・凡例へ項目を設定します。
 輸出と輸入の推移グラフになります。

タイムラインは「分析」タブから追加できます。

・名目原系列を選択します。
 名目系列は合計値が一致するので構成比のようなバランスを確認するときに活用できます。
・タイムラインへ「YYYY/MM/DD」を設定し2020年第1四半期を選択します。
・値の「計算の種類」は「総計に対する比率」です。

活用方法(タブロー)

実質経済成長率
セカンダリ計算を追加します。

<実質前年同期比>
・フィルターで「系列」は「実質原系列」
・「集計単位」は「国内総生産(GDP)」です。
・表計算を編集します。
 計算タイプ=移動計算(合計 前4,次0)
 「特定のディメンション」→「YYYY/MM/DDの四半期」
・「セカンダリ計算」をチェックします。
 計算タイプ=差の割合
 特定のディメンション」→「YYYY/MM/DDの年」

前期異データが無い2019-Q1はNullになります。

<実質前期比>
・表計算を編集します。
 計算タイプ=差の割合
 表(横)
 基準=前の値

 完成です。

貿易収支
タブローでは同一の横軸へ棒をプロットできます。

・フィルターで「系列」は「実質原系列」、「集計単位」は「財貨・サービス(純輸出)」です。
・「項目」を色へドロップします。

どちらか一方のカードから色を外します。

・行シェルフへ「金額(10億円)」を追加して色を外します。
 貿易収支の合計値グラフが追加されました。ここのところは輸入超過、貿易赤字になっているみたいです。

四半期デフレーター

 四半期デフレーターは名目系列の値と実施系列の値から算出することができます。

四半期デフレーター=(名目原系列÷実質原系列)×100

・「系列」をフィルターして「名目原系列」と「実質原系列」を選択します。
・「集計単位」のフィルターは「国内総生産(GDP)」です。
・「系列」を色へドロップします。
・行シェルフへ「金額(10億円)」を追加して表計算します。
・計算タイプ=割合
 ペイン(横)
 基準=前の値

表計算式を色へドロップ、目盛を調整して完成です。