むかしの海岸線を想像する

むかしの海岸線を想像する

タブローのマッピング機能で海に関係しそうな地名(字名)をプロットすると、むかしの海岸線が浮かび上がるのだろう。

地名 字(あざ)

地図データ

 地図をみることが大好きです。ネットで航空写真をみることができるようになってからは、ますます楽しくなりました。自宅はもちろん沖ノ鳥島とか何回もみてしまいます。

 地図データもかなり整備されてきて、政府統計の総合窓口「e-Stat」から境界線データをダウンロードすることができ、それにタブローから接続すればマップVIZが簡単につくれるようになりました。
 また国土地理院ではタイルへ接続できるサービスがかなり充実して、各種のバックグラウンドマップとして活用できて、これは素晴らしいです。

この投稿の地図の出典:国土地理院ウェブサイト 地理院タイル一覧(https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html#digiele)を利用させていただきました。
地図の種類は「アナグリフ(カラー)」(https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/anaglyphmap_color/{z}/{x}/{y}.png)です。

境界線データは、こちらからダウンロードさせていただきました。
地図で見る統計(統計GIS)(https://www.e-stat.go.jp/gis/statmap-search?page=1&type=2&aggregateUnitForBoundary=A&toukeiCode=00200521&toukeiYear=2000&serveyId=A002005212000)

地名についての蘊蓄を少々

 画像は岡山県のほぼ岡山市です。地名の蘊蓄を語るときによくつかいます。
 地名(主に字)に砂・洲・水などの漢字がはいっている土地は、地震のときに液状化しやすい可能性が高いというような話を聞いたことがあります。地名はその昔の土地の様子をあらわしているからですね。もともとは三角州や中洲だったり河口の近くだったり、土地の深部が砂であれば液状化しやすいのだろうと思います。

 画像の話に戻りまして、まず中心になるのが「吉備津」です。「吉備」は五世紀ごろには歴史上に登場しているかなり古い地名です。
 その「吉備」に「津」がくっついているのでここは吉備の港だろうと想像できます。(当地には本殿が国宝の吉備津神社がある)。画像の水色の部分は現在は陸地、白い部分が現在の海です。

 吉備津の南側に「庭瀬」という字がみえます。吉備津が港だったころ、このあたりは海の浅瀬だったと思います。だから字名に「瀬」がつかわれています。

 「花尻」という地名があります。花尻の花は鼻だろうと想像できます。磯釣りファンにはピンとくるのですが、鼻といえば海へ突き出した岩場のことです。吉備津からみると確かに海へ突き出しているように見えます。

 南へくだると「早島」があります。画像でわかるとおり、緑色なので盛り上がった場所です。まわりが海だったから、早島は名前のとおり島だったはずです。「早島塩津」という字があり、ここは早島の港だったのでしょう。今は山ですが。

 吉備津から少し東に「津島」がみえます。このあたりまで海だった可能性もみえてきます。

阪神間のむかしの海岸線

境界線データへの接続

地図で見る統計(統計GIS)(https://www.e-stat.go.jp/gis/statmap-search?page=1&type=2&aggregateUnitForBoundary=A&toukeiCode=00200521&toukeiYear=2000&serveyId=A002005212000)の「世界測地系経度緯度・Shapefile」から境界線データをフォルダーごとダウンロードします。フォルダーには4種類のデータソースが入っています。タブローを立ち上げて「接続」→「空間ファイル」を選択します。

 今回は阪神間の地名を対象にするので兵庫県のデータに接続します。

地名を抜き出す

 「CITY_NAME」が市区名です。阪神間で現在の海岸線に接している、尼崎市、西宮市、芦屋市、神戸市東灘区、神戸市灘区をフィルターで選択します。字名にあたる「S_NAME」をテキストで表示します。

 ここからが問題で、どのようにして、海のまつわる漢字を含む字名を抜き出すのか・・・

エクセルでやってみる

 タブローのシート1をエクセルで出力します。何かシュッとした方法があるのではないかと考えながらも、データの区切り位置で漢字1文字ずつに分割します。

バラバラにした漢字を「&”。”&」でくっつけます。
「伊勢町」は
「伊。勢。町」のように漢字1文字のあいだに句点が入り込んでいる状態になりました。

 KHcoderへ投入して抽出語をエクセルでアウトプットします。全部で341文字ができてました。

 このなかから海に関係がありそうな漢字を選びます。26文字を選びました。「浜」は67回もでてきます(1丁目・2丁目のようなダブりもあり)。また「住吉」は海神をまつる神社に関係あるとみて含めています。

タブローでプロット

 先に選んだ海に関係しそうな漢字26文字を含む字名をフィルターで選択します。

 メジャーの「ジオメトリ」を「詳細」へドロップすると経度・緯度を自動生成してマッピングできます。境界線ではなく点でプロットしたかったので、形状を密度に設定しました。

 海にかんする漢字を含む字名は、そのむかし、海または海岸線と関係があるという仮説が成り立つならば、尼崎市・西宮市は、今の海岸線よりもかなり奥まで水がきていた。芦屋市、神戸市東灘区、神戸市灘区は六甲山の近くまで海だったのかなぁといった感じです。

瀬戸内海側に広げてみる

 市区のフィルターを外してみました。先の26文字のフィルターはのこしています。26文字に「浪」とか「岬」とかのような漢字も加えてゆくと、もっとでてくるのかもしれません。