スーパーストアの社長になってみる(第5回)
タブローのLOD、セット、リファレンスライン、ツールヒントなどについて解説しています。
顧客の構造
LOD表現で有名なVIZ
画像はタブローのLOD表現を活用した、ちょっと有名なVIZです。
例えば2016年Q1に当社の製品をはじめて購入してくれた(顧客になった)顧客は112名、売上高3,905K円でした。その顧客112名のうち57名が2019年Q4に2,604K円を購入したことがわかります。
つまり軸が四半期になっているので、四半期ごとの新規獲得顧客が、その後、継続的に購入してくださっているのかどうかを確認することができるVIZです。
2段目の棒グラフは構成比をあらわすもので、2019年Q4の売上高のうち約65%は2016年(Q1~Q4)に獲得した顧客によるものだということがわかります。当社の売上高の多くは新規獲得した顧客のリピート購入が占めているということがわかります。
VIZのつくりかた
列シェルフへ売上日(不連続)をいれて、1階層下の四半期を開きます。行シェルフはすべて売上高です。
・2段目は表計算が「合計に対する割合(セル)」
・3段目は「累計(表横)」です。
色へLOD計算フィールドをドロップします。
{FIXED [顧客 ID]:MIN([売上日])}
色へ年(不連続)をドロップします。年の+(プラスマーク)をクリックすると四半期(不連続)が開きます。このとき四半期の左側マークは「詳細」です。「詳細」をクリックして「色」へ変更すると画像のようなグラデーション系の色になります。
製品とリピート購入
我が社の製品はテーブルや椅子のような家具、コピー機や電話機のような家電・事務機器が主力です。これら製品の耐用年数は5年とか、それ以上です。
消耗品の取り扱いがあるいとはいえ、耐用年数が5年を超えるような製品が短期間のあいだに何度も同一顧客からリピート購入されるのでしょうか?
顧客数(ユニーク数)は2017年以降は大きく増加していません。今後も横ばいであろうと予測されます。
一方で、1顧客あたりの製品納品先数(市区町村数)はどんどん増加しています。これが、我が社の売上高が成長しているカラクリです。
まず、顧客を獲得する。つぎに、その顧客の支店・営業所・事業所・工場などへ販路を拡大します。だから納品先数が増加します。
とはいえ、無限に支店・営業所・事業所・工場があるわけではありませんし、場合によってはそれらが閉鎖になるようなリスクもあります。
実際に2019年は大企業の新規顧客がゼロです。もちろん支店などへの販路拡大もどこかの時点で限界になります。
家電・事務機器なら初回購入から概ね5年、テーブル・椅子などはそれ以上の期間、リピート購入(買い替え)の見込みはありません。しかも、買い替え時には、あらたなライバル会社も登場することになるでしょう。
とにかく新規顧客獲得、販路拡大は重要です。だた、既存顧客を何とか繋ぎとめる戦略も同時に重要だということです。
営業のタイミングをみえる化する
2分類する方法(セット)
ディメンションの値を2分類したいときに便利な機能がセットです。
例えば、顧客の性別がはじめからデータソースにディメンションとして含まれていれば売上高を男女別に集計できます。
もとのデータソースやマスタにない値を分類したいとき、ひとつの方法はグループです。グループは複数の分類が可能になります。
もうひとつのセットは2分類が可能になります。セットの方がグループよりも作成手順が簡単ですから、2分類のときは主にセットを作成します。
都道府県を東日本と西日本に分類する、年齢を65歳以上と未満に部類する。こいったときに活用できます。
セットはペインからもビューからも作成することが可能です。今回はビューから作成します。
サブカテゴリ―を消費財と消耗品に2分類したいと考えています。
・行シェルフへカテゴリーを入れてサブカテゴリ―へドリルダウンします。
・ビューの消耗品に該当する行、クリップ~保管箱までを選択してマウスポインタを選択した部分へオンします。
・リングマークの▼(下向き三角)をクリックして「セットの作成」を選択します。窓が開き名前をつけます。「除外」のところをチェックしないときは、現在選択されているサブカテゴリ―が「IN」です。チェックするとその逆で「OUT」です。
これでセットは完成です。
・製品名と売上高の棒グラフをつくります。
色へセットを投入します。「IN」(消耗品)、「OUT」(消費財)で色分けされます。
・製品名を売上高降順に並び替えます。このビューはあとから使用します。
消費財と消耗品とを色分けした理由は、それぞれ営業のタイミングが違うからです。コピー機を購入された顧客にたいして、その翌月にコピー機を売り込むようなことは避けたいものです。コピー機を必要としない顧客へ営業するとか、コピー機の製品カタログを送るというのは費用にたいする売上を見込むことができないからです。
LOD表現で最終購入日を表示する
今日が最終売上日から何か月が経過しているのかを示すパラメーターを作成します。
3か月単位のリストにしました。30=1か月、31=1か月でも構いません。
地域の営業責任者であるマネージャー別の表を作成します。
「顧客ID」と「マネージャー(地域)」を粒度に指定します。算出するのは最終日「MAX(売上日)」です。
最終売上日にパラメーター値を加えた日を営業期限とします。
本日を示すリファレンスライン
・売上日の月(連続)を列シェルフ
・マネージャー(地域)と顧客IDを行シェルフへ入れます。
計算フィールド「本日」を作成します。
・計算式は「TODAY()」です。
計算フィールドを詳細へ入れます。
右クリックして「正確な日付」を選択します。
売上日の軸を右クリックしリファレンスラインの追加を選択します。
・値のプルダウンを開くと、詳細へドロップした「本日」があります。「本日」を選択します。
リファレンスラインはビューにある値しか選択できないので、「本日」を詳細へドロップしたわけです。
・右のドロップダウンから、最小値か最大値を選択します。
定数は不可です。ラベルを変更すると完成です。
コンピューターの時計が正確なら本日のところへリファレンスラインができます。明日になると1日分だけ右へ移動します。
判別フィールド
営業のタイミングを判別します。最終売上日から一定期間後(パラメーターで設定した売上後期間)と本日を比較して、本日が最終売上日から一定期間を経過してしまっていたら、すぐに営業してくださいということを知らせる判別をおこないます。
・「営業期限」の月(連続)を列シェルフへ追加します。
・営業のタイミングを色へ、「営業期限」の月(連続)を詳細へドロップします。
・「営業後期間」のパラメーターを表示しましょう。
・軸を二重軸にして軸を同期します。
ツールヒント
ツールヒントをクリックします。開いた窓で書式を設定、表示する内容を設定できます。「挿入」ボタンからシートやディメンション、メジャーを追加できます。
ツールヒントへ追加挿入できるディメンション、メジャーはビューで使用しているものに限られます。「顧客区分」を詳細へ追加しました。
フィルター
・消耗品であるかどうかを選択する(セット消耗品)
・売上後期間を選択する
・顧客区分を選択する
これらのフィルターを設定します。
ビューで粒度を指定したLOD計算フィールド(列シェルフへ入っている「営業期限」のこと)を使用しています。
・「顧客ID」
・「マネージャー(地域)」
この2つを粒度として使用しました。
ここがポイントです!
タブローでは、表で使用しているディメンションはすべて表に従います。
従って、粒度に指定している
・「顧客ID」
・「マネージャー(地域)」は、そのままフィルターできます。
つまり、フィルターしたい
・「顧客区分」は粒度に指定している「顧客ID」と1対1の関係にあるため問題はありません。
・「セット」をフィルター表示します。
セットはサブカテゴリ―から作成したため粒度に設定した「顧客ID」と1対1の関係がありません。
従って通常のフィルター設定の場合、セットのフィルターは「顧客ID」をフィルタリングせず集計します。そこで「セット」はLOD表現よりも上位になるコンテキストフィルターにします。(LOD表現(タブロー))
現在が2019年10月なのにデータソースには12月末までの売上高データがあります。便宜上ですが、昨日までの売上高のみにを表示する目的で売上日もコンテキストでフィルタリングしました。
営業期限を管理する
・フィルターで消耗品を選択します。
消耗品だから6か月も経過すれば在庫が減ってきている可能性が高そうです。
・売上後期間を6か月に設定します。
・顧客区分は消費者を選択してみましょう。
今回のVIZは1クリック、2クリックで見たい結果にたどり着くようなシュッとしたものではありません。複数のフィルターを組み合わせながらゴリゴリやるタイプです。
小さな売上高ですが、封筒なんかは、どこか他社で購入されてしまっているように思います。